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上村一夫「同棲時代」夭逝の天才女絵師 [eBookJapan]


編集部・峯村
編集部・峯村

 文学と絵と時代性の官能的融合――劇画を変えた傑物・上村一夫
同棲時代
『同棲時代』 全10巻
上村 一夫 各315円(税込)

 芸術とは時代を超越した「美」そのものを追求するものの反面、ある芸術品を見れば、やはりその作品が生み出された時代背景や、それを作り出した作家の生き様を理解しようとせずに、「鑑賞した」とはなかなか言えないものです。ものを見る技術と思想、そしてそれを表現する『絵画』、また、人間の心情や内面を深く掘り下げていく『文学』。その二つの芸術領域を融合させたものが『漫画』だとするならば、漫画とは多分に時代を映す鏡だと言えそうです。
 今回取り上げた作品はまさに時代を象徴する傑作。何度も映像化され、漫画を知らない人もどこかで目にしたことがあるかと思います。ただひたすらに、安アパートで同棲する若い男女二人の世界を、特に物語の大きなうねりも持たせず描いた作品なのですが、その一編一編に、男とは、女とは、愛とは、生きていくとは……痛切なまでに心の奥底を覗き込むかのような、心情描写が描かれます。特に女性からの視点が中心となっているのですが、当時の若年層の心情を汲み取って、お互い結婚などという古い習慣に縛られず、自由に奔放に生と性を楽しもう、という当時の先進的な女性の世界観がまずは描かれます。それだけで終わっていても、この作品は一流だったと思うのですが、上村一夫がすごかったのは、主人公二人の自由さを、捨てたはずの「結婚」という旧習を、物語が進むにつれて静かにしかし見事に逆転させて、二人を追い詰めていったところにあります。時代の流れを読んでその流れに乗ったかのように舞い上がり(連載当時は爆発的ヒット作でした)、その時代の鼻っ柱を打ち砕く鞭捌き。エンターテイメントとしても文学としても超一流の完成度です。そしてその上、上村一夫の描く女性、これがまたそれまでの劇画の、いい意味でも悪い意味でも男くさい、貧乏くさいというイメージを一変させてしまったほど、魅力的で官能的でした。上記のようにストーリーテラーとしても超一流だったのに、大人気作家だった当時のキャッチフレーズは「女絵師・上村」だったのです。それほどまでに上村一夫の描く美女は、美しかった。劇画の新たなる時代を拓いたのか、はたまた劇画を終わらせてしまったのか。上村一夫にはそんな印象すらあります。
 しかし天才は短命なのが宿命なのか。86年に下喉頭腫瘍で亡くなったとき、彼はまだ45歳の若さでした。元気でいたら、どのような時代を作っていたのか、悔やまれる才能でした。


修羅雪姫 『修羅雪姫』
原作:小池 一夫 画:上村 一夫 各315円(税込)
復習のため殺し屋となった雪。映画「キル・ビル」の原案になった傑作
明治時代の東京で、高額な仕事料をとって殺しを請け負う女がいた。その名は雪、人呼んで「修羅雪姫」!吉原遊廓からの依頼で、女賭博師に化けて向島へと潜入する雪の本当の狙いとは!?
狂人関係 『狂人関係』
上村 一夫 各315円(税込)
浮世絵の天才・北斎を、昭和美人画の天才が描く!
江戸の粋と風狂の中で生きた天才浮世絵師、葛飾北斎。酒を愛し、風流を愛し、新しい才能に嫉妬し…、画狂人・北斎の知られざる日常。彼が人生をかけて追い求めたテーマはなんだったのか。日本一の絵師としてその名を知らしめた人生を、昭和の絵師と謳われた上村一夫の筆がきり裂く!
サチコの幸 『サチコの幸』
上村 一夫 315円(税込)
夜に咲く女・サチコの悲しくも強い人生。女絵師・上村の珠玉の傑作。
「こんな日は必ず忙しくなるんです。淋しさに耐えかねた男さん達が、肌恋しさにワンサカとやって来るものなのです。」新宿二丁目、廓に強く咲き誇る女、サチコ。娼婦の世界に生きる女たちを描いた上村一夫珠玉の傑作。
60センチの女 やっちゃれトマト 関東平野


2006-08-04 12:04  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
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上村一夫…絵のような女絵師には会えざりし(無精庵徒然草 2007-01-11 01:53)
[今日の記事では、「山本有三」「ウィリアム・ジェームズ」「ちばてつや」「ジャコメ

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